吉田工場長の部屋
(月刊ジャーマンカーズ2005年1月号掲載)


ん?タイヤが変だぞ?
〜つたえ社員の愛?車を紹介〜

今月の紹介車両はみなさまご存知のつたえファクトリー主治医吉田工場長の320i Mテク改です!おなじみ「工場長の部屋」でいくつかのトラブルを掲載しましたが、現在の状態をまとめてみました。忠実に組むだけでも楽しいM20E/Gに少しイタズラすると・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・壊れちゃいました

また割れちゃったんですよぉぉぉぉロッカーアームがぁぁぁぁぁ・・・(写真1)

もう3回目です(泣)年にいっぺんはシリンダーヘッドを下ろしてる気がする今日この頃、問題の折れたロッカーアームはやはり大きなヴァルブを動かす為に大きなストレスのかかるインテーク側(写真2)しかもやっぱり交換歴のない旧タイプでした。
仕方がないので思い切って12個のロッカーアームを総て新品に交換しようと取り寄せたらちゃーんと折れやすい場所が厚みの増した改善品になっておりました(写真3)最初から全部新品にしよきゃあよかったんですよね〜。
おかげで抜けてもいないヘッドガスケットはまたまた新調しなければならんし、前回再使用したヘッドボルトは今回交換する羽目になっちゃうし、こんなもんを交換するだけでほかにこれだけの(写真4)パーツを必要としてしまいますから、この記事を読んでいる賢い読者の皆さんは万一ロッカーアームがへし折れる事態になったら(どれだけの人がその事態に遭遇するのか謎ですが)私のように悪あがきせず素直に総て新品に交換しときましょう。これは私が体を張ったアドバイスです、ハイ。
で、愛車の不調により急遽会社から車をすこしばかり借りることになったんですが、最近社長が偉大なる大人のおもちゃと称して買ってきたるはE30のハルトゲ、しかも2000ccマニュアルトランスミッション仕様と、ほとんど私の車と同じではありませんか(写真5)
同じとはいっても中身は別物、エラソーな、いや美しくデザインされたヘッドカバーに等長エグゾーストマニフォールドとまたまたパワーの出そうでご結構なブツでありますね(写真6)というわけでこの車、試乗と称して少しお借りすることにいたしました、へっへっへ。
買ってきたばかりの頃はリアマフラーがヌケヌケで(写真7)実にけたたましい爆音を撒き散らしておりましたが、
FOXとかゆーメーカーのマフラーに取り替えたらお上品なサウンドになりまして(写真8)この車に乗って帰ったところ、いつもは「おかえり〜」って迎えてくれる家族が誰一人出てきてくれない・・・うぅ、これはもしかしたら昨日の夜に2歳になったばかりの娘のために買ってあったヨーグルトを盗み食いしたのがバレてしまったか!と思ったら「車の音が静かで気が付かなかった」らしいです。
どうやら私の車のほうがやかましかったようですね(苦笑)このマフラー、実はあと1セット在庫があるようです(写真9)7万円で取り付け費込みだそうですから、興味ある方はお問い合わせくださいね。そんなこんなで乗り回していると、まーサウンドも上品なら走りも上品で、エンジン特性も下から上までじっつにバランスよく回ってくれます。ストレスのないというか引っかかりのないというか、もうとにかくスムーズなんです、が、なーんかものたんないんですよねー。どうもバランスは完全にとってあるようですが、フライホイールは重たいまんまみたいです。低速に太いトルクが乗っかっているのは重たいフライホイールの賜物なんですが、そもそもフライホイールってどんな役目してるんでしょうね?
重量物には質量、というものがあり運動することによって慣性、というものが発生します。重量物であるフライホイールは回転エネルギーを与えることによって慣性が発生し、エネルギーを失っても慣性によって回り続けようとします。この「回り続けようとする力」がピストン往復運動によって発生する脈動をうまく吸収し、安定した低速トルクを生み出す、ということなんですが、信じがたいことにローギアで発進するときのエンジンパワーはその約50%ほどが車の加速ではなくフライホイールの加速に費やされるのです。ひえ〜!ホントなんです。エンジンによって加速された重たいフライホイールは慣性の力によって回転運動エネルギーを放出するので低速トルクが太い、という理屈なんです。しかし、時にエンジンパワーの約半分を消費するほどの重さを持つフライホイールは当然エンジンレスポンスに大きな影響を与えてしまいます。
そこまで重たいフライホイールを装備するのはドライバビリティをよくするため、簡単にいうと「昨日免許とった人でも運転できる」ようになっているのです。運転に慣れた人であれば重たいフライホイールはただの邪魔、というわけですね。前回阿部君のフライホイールをかくも無情に軽量化したのは、2500ccの排気量であれば低速トルクも充分、エンジンの足かせになっているフライホイールを可能な限り軽量化することでレスポンスの点で不利になりがちな大排気量エンジンを軽快に回してやろうという目論見あっての事だったわけで、決してノリノリの悪ふざけをしていたわけではありませんですがな。
実はフライホイール軽量化の話、ジャーマンカーズ長期レポート車だった318is(写真10)も密かに進行中だったんですが・・・
このM42エンジンはフライホイールがただの円盤ではなく2枚の円盤を組み合わせたような形状をした「ダブルマス・フライホイール」という機構を採用していたんです(写真11)厚みが倍くらいあるの、お分かりいただけますか?2枚の円盤の張り合わせ部分にはエンジン回転のギクシャク感を吸収するためのショックアブソーバーみたいな部品が組み込まれている為低速運転時に車がガクガクしないで済むという快適な機構なんですが、このフライホイールは削る場所がないんですよね。
仕方ないのでフライホイールの外周部分に穴を開けて軽量化を図ったんですが(写真12)大して軽くならない上に加工業者さんに「バランス取りの為にフライホイールを固定する治具がありません」というわけで日の目を見ることなく今も倉庫で眠っているのです。出番のないまま長期レポートは無事終了してしまいましたから、もう出番はないでしょうね。
まぁそんなわけでワタクシ個人の短期レポートでハルトゲをちょこっとインプレしてみたんですが、会社のおもちゃかなと思っていたらこの車、助手席になんかプライスボードが乗っかっていまして、98万円と書いてあります(写真13)どうやら売り物だったらしいです(爆)車検が来年の12月までついてこの値段らしいですから、興味のある方はお問い合わせくださいね。私が乗っていたくらいですからもちろん試乗可です。と、こんな話していたら早くも商談入っているみたいです。この本が発売されるころにはもしかすると売れてしまっているかも・・・売れていたらゴメンナサイ。

で、話題?の阿部君エンジン製作状況はどーなってんでしょ?

今この原稿を書いている現在はピストンとコンロッドを分解してせっせと磨いているようです(写真14)

そうそう、そーやってピストンを電熱器であっためて(写真15)触れないくらいの温度になったらピストンピンを抜くのだよ。

外は雪降っててさむいな〜(写真16)この寒空でピストンを磨けるのは若さゆえか?

来月は果たしてどこまで進むでしょうか。楽しみにしながら今回はこの辺で。

それではまた。

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