吉田工場長の部屋
(月刊ジャーマンカーズ2005年8月号掲載)


ん?タイヤが変だぞ?

みなさんこんにちは。

夏休みはどこかへお出かけになりましたか?

私は混雑する場所が大っきらい、っていうか渋滞で愛車が壊れるのがイヤなので(笑)海とかはヤだ、という突っ込みをかける前に「洞窟に行きたい」と長男が申しまして、洞窟って鍾乳洞かいな?ってあんばいで一応東京都にも青梅という場所に日原鍾乳洞という場所がありましたので行ってまいりました。

心配していた渋滞はあんまりなくて、車を走らせること約2時間。到着した場所はもう本当に山の中という感じで「ここ電気きてんのかな」と心配になるような大自然の中、何となく川の流れを見てみるとびっくり!水が透き通っているでわあーりませんか!東京都の大自然に透明な水が存在するなんて・・・などと感動しながらいよいよ鍾乳洞の中に。

「さ、さ、寒い・・・」それまで30度を超える外気温から鍾乳洞の中は一気に気温10度の世界。このうだるような蒸し暑さの中、当然上着など持ち合わせてるはずもなく、がたがたと震えながら長女を抱っこしながら中へと進みます。おぉ、我が娘はあったかいぞ(笑)と、鍾乳洞の中は・・・足場が悪い(泣)総重量約9,7キロの娘を抱っこしながらの鍾乳洞探検は結構過酷で、一人でも足元に気をつけないと危ないのに、

ましてや申し訳ない程度の蛍光灯がわずかに点る薄暗い鍾乳洞の中をコケずに渡り歩くというのは思いのほか体力を使いました。1時間ほど探検した後、川っぷちで遊んで帰りましたが、夏の避暑地が何も海とは限らないという事と、意外なくらい身近に大自然というものは存在しているんだな、といういい経験をした夏休みでありました。まだまだ残暑厳しい季節ですから、皆さんも自然の冷媒がもたらす涼風を是非お試しあれ。

さてと、そんな夏休みの真っ只中、阿部君は何してんのかな〜(写真1)

おぉ、ついにエンジンが完成したみたいでっせ!長かったなー。皆さん覚えてますか?彼がエンジンを組み始めたのは去年の9月ごろなんですよね。あぁ、あれからどれくらいの時間が経過したんでしょおか?ここでちょっとエンジンの仕様をおさらいしておきましょうか。

エンジンパーツは基本的にフルノーマル。クランクシャフトはダンパープーリーとフライホイール、クラッチカバーをセットボルトまで含めてバランシング。同時にフライホイールは徹底軽量、7Kgから5Kgへ。

ピストンはコンロッドと共に軽く重量あわせ。IN、EXヴァルブは高さあわせ&シートカット加工。燃焼室は軽く研磨。同時にポートも軽く研磨。ヘッド自体は0,3mm(限界値)まで研磨して標準ヘッドガスケットを組み付け、これにより圧縮比アップ。と、まぁこんなところでしょうか。

そんな手塩にかけた?エンジンを今まさに吊り上げて(写真2)

深夜に乗せ換え作業の阿部君(写真3)

苦労の末上手いこと換装作業は完了しました(写真4)

念願のMTにも乗せ換えして、いよいよエンジン始動・・・無事にかかりました、よかったよかった。

ちょっと意外だったのは阿部君の組んだエンジンが一発で始動したこと、じゃなくてあれほどフライホイールを軽くしたにもかかわらず落ち着いてアイドリングしてること。普通30%も軽くするとアイドリングに少なからず影響するもんなんですが・・・排気量があるとやっぱり違いますね、余裕が。30分ほどアイドリングしていましたが、水温も安定して、妙な焦げ臭い匂いもなく、オイル漏れ、水漏れもなく、めでたしめでたし。

と、安心するのはまだ早い!そこかしこに車両暦15年のツケが・・・見てみましょうか。もうこんな年代になると一度は交換してるはずの燃料ホース(写真5)ですが、

定期交換という概念がなかなか定着しないのか、気がつけば亀裂が入っていました。規定では4〜5年が交換時期の目安ですから、車検2回ごとの交換が理想です。それと、これはM20エンジンに限定したお話ですが・・・サーモスタットを内包しているサーモハウジングという部品が仕様変更しておりまして、旧型(写真6)は細いホースが手前に向かって出ているのに対し、

新型(写真7)は下に向かっています。旧型はこの部分がスポッと抜けてしまい、突然冷却水がじゃんじゃん出てくる恐れがあるので早めに換えておきましょう。

下回りを見てみましょうか(写真8)オイルフィルターが見えると思いますが、実はこの部分にオイルクーラーラインがあるはずなんです。M20でも2000ccだとオイルクーラーはありませんが、2500ccだと発熱量が多いため、オイルクーラーが装備されているんです。ところがこの車、なぜかオイルクーラーがありません。圧縮上げて発熱量が増えているんだから早めにつけたほうがいいでしょうね。

それとブレーキホース(写真9)15年も無交換だとさすがにばりばりにひび割れていますね。裂けてブレーキオイルを撒き散らさないうちに交換しましょう。

あとさぁ、内装組もうよ、阿部君(写真10)。

この状況、たまたま阿部君がエンジン換装するので一応点検したんですが、現状のE30はきちんとメンテしてないと、大なり小なりこんな現状という事が言えると思います。

皆さんの愛車はどうですか?真夏、真冬は人間と同様、車にとっても過酷な状況ですから、一働きしてもらったら、一休みと点検をしてあげてくださいね。結局それが維持費を安くあげてくれますから。

まーそんなワケでめでたく「一年ぶりに」エンジンがかかった阿部君E30ですが、こんな現状なのでまだまだ乗って帰るというわけにはいきません。

ってか阿部君なぁ、エンジン完成記念に一杯奢りますとか言ってるけど、その前に足回りなんとかしといたほうがええぞぉ。ちょこっと工場内移動しただけでぶにょんぶにょんだぞ、あの足。あれじゃエンジンばっかり元気でちっとも踏めないマシンになりうるから早めに何とかしとけよ〜。

さて、この車が元気一杯に走り回る日はいつになることやら、それはひとえに皆さんの応援と、本人のヤル気にかかっていますので、応援よろしくお願いいたします。

でわまた。

★本サイトの情報の取り扱いについて★
本サイトに掲載のすべての情報、画像等を、権利者の許可なく複製、販売、放送などに利用することを禁じます。
無断転載・引用等は固くお断りいたします
。また、同業者の方はお問い合せ下さい。