吉田工場長の部屋
(月刊ジャーマンカーズ2004年4月号掲載)


ん?タイヤが変だぞ?

皆さんこんにちは。

先日ワタシは最近リニューアルしたという池袋サンシャインプラネタリウムに行ってまいりまして、昔のプラネタリウムといえば「ハイッあそこに見えるのがXX座といいまして・・・」なんていう解説がついたりしたもんですが、最近のはビデオプロジェクターを併用してコンピューター・グラフィックスなんかを駆使した立体映像を映してくれちゃったりするもんだから、あそこまでいくともうほとんど映画ですな。技術の進歩ってすごいなー。

さて、前回は衝撃の映像?をご覧頂きましたが、その中でエンジンオイルがドロ化してしまったエンジン、憶えてますか?あれ、ナント実はハルトゲだったんですよ!で、ヘッドボルトが折れちゃったってんでヘッドオーバーホールになってしまったんですが、今回はちょっとその具合を見てみましょう。



まず、ヘッドボルトを外してシリンダーヘッドを取り外します(写真1)



シリンダーヘッドガスケットがヘッドにこびりついていますが(写真2)一度もヘッドを開けたことのないエンジンであればほとんどこんな状態です。





カムシャフト側を見てみると、お見事なくらいドロ化したエンジンオイルのカスが溜まっています(写真3,4)


ドロが溜まっているのはカムシャフトだけではありません。ヘッドカバー内のブローバイラビリンスもこってり溜まっています(写真5)このような状態だと、シリンダーヘッド内部の潤滑は相当マズい事になっていると思われます。何しろシリンダーヘッド内部がみ〜んなこんな状態だからもう何が何だかよくわからないので、パーツをちょっと洗浄してみます。

カムシャフトを見てみると、ばっちり段つき磨耗になってしまっています(写真6)オイル交換を怠ると8万円近くするカムシャフトも悲惨な姿に変わり果ててしまいます。このエンジンはSOHCですから、カムシャフトの動力はロッカーアームを介してヴァルブに伝えられます、
という事はロッカーアームも偏磨耗している可能性がありますから見てみましょう(写真7)ぎらぎらと縦すじが見られますが、これがオイル潤滑を得られなかったロッカーアームの末路です。
普通のロッカーアームはカムシャフトと接触する所がキレイなRを描いているものですが、ムシレたような傷跡のついたロッカーアームは横から見ると部分的にえぐられているのが分かります(写真8 左が磨耗したロッカーアーム、右が磨耗していないロッカーアーム)
パーツをあらかた外し終わったらヘッド自身もキレイに洗ってあげましょう(写真9)本来はこのようにピカピカなはずなんですよねぇ。
ポートの形状なんかすごくきれいで(写真10)一台一台手作業によってポート加工が施されていた事を物語っています。
燃焼室容積もあわせているようです(写真11)間違いなくこれは本物のハルトゲチューンと考えていいでしょう。さて、万が一このヘッドがゆがみすぎて修正不可能だったら・・・純正ヘッドが使えるとしてもポート加工はこの車にとって最も重要なチューン内容ですから、なるべくは修正研磨で済ませてせっかくのハルトゲチューンヘッドを活かしてあげたいところですよね。
しかしゆがみが0,3mm以上あると基本的に修正不能です。ゆがみをヘッド面研磨加工を施してくれる加工屋さんに測定して頂いたら0,1mm未満!どうやら修正研磨だけで復活できそうです。この原稿を書いている時点ではまだヘッドは仕上がっておりませんでしたが、次回は美しく仕上がったヘッドをお見せしたいと思っています、お楽しみに。

今回の画像、実は私が個人的に所有している携帯電話のカメラ機能で撮影いたしました。いやぁ、現場で大ぶりな(といっても1眼レフのフィルムカメラよりは小さいですが)デジカメを持ち歩くのはやはりメンドーなワケで、最近の携帯電話ってちょっとした撮影なら割とキレイに撮れるもんなんですねぇ。技術の進歩ってすごいなー。え?見えにくいですか?すみませんm(__)m次回はなるべくデジカメでちゃんと撮影します。

それではまた。

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